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SnowPeakスタッフとFlyFishing


 日本の渓流の原風景、太古からの生態系が守られている数少ない原始的なフィールドが日本海側の東北地方から新潟県の北部(県北)に点在している。北から、ブナ林の世界遺産で有名な追良瀬川や赤石川を育む白神大地(青森秋田県境)、鳥海山(秋田山形県境)、そして月山や朝日岳(山形新潟県境)等である。
 白神山地や朝日のブナの森林は水をプールする自然のダムであり、多様な生物の生存と澄んだ渓流とを保存する基礎的要素でもある。

 朝日岳を始めとする山々に源を発する三面川水系も、朝日スーパー林道ができ、以前と比べれば人の手が入ってしまってはいるが、それでも大部分は人を寄せつけない厳しい地形条件により、あるべき自然が残っている。

 5月21日(金)の夜8時くらいであっただろうか、会合に出席中の私の携帯電話に着信があり、画面には“TOSHI”という表示がされていた。スノーピークのスタッフからの電話にてっきりトラブルだと思って部屋を出て、電話に出た。
 「toshi君、どうした。」「今、名古屋なんですけど、これから帰ります。」「そうか、お疲れ様。何かあったの。」「この土日に釣りに行くようでしたら、私も連れていって下さい。」「分かったよ。何かトラブルかと思ったけど、そうじゃなくて良かったよ。じゃあ釣りに行くようだったら電話するから携帯の電源は入れておいてね。」、ということで釣行になったのであった。

 三条を午前7時に出発し、北陸自動車道で新潟西インターまで、国道7号線新新バイパスで豊栄インターまで、国道345号で荒川町まで走り、再び7号に戻り神林村、村上市を過ぎ、朝日村に着く。ここまでおよそ120km。朝日スーパー林道の入り口で国道7号線を右折すると2kmほどで三面川を渡る。車から見えた三面川本流は、最下流であるにもかかわらず澄んだ渓流の姿をしていた。まもなく目的の渓流へのアプローチ部落に到着する。

 途中、某川本流を渡る橋の袂に看板があった。「釣人へ この付近でサクラマスをルアー、フライで釣ることは禁止されています」。他所から来た我々には、「へえ、ここでサクラマスが釣れるんだ」という思考回路にさせられる不思議な看板である。北海道の海沿いにある「ウニ・アワビの密猟は禁止します」という看板と同じである。その看板がなければ、そこにウニがいることすら分からないのに、と思うのは私だけだろうか。

 最終集落からは渓流沿いに林道をひたすら登っていく、最低地上高の低いボルボには少しばかり酷な砂利道である。5kmほど走ると支流との合流点である。支流は本流との合流点から500mで二股になっている。右側から流れる滝のあるS谷と左側から流れるH川である。S谷方面の林道は全面通行止めになっていた。H川方面への林道も通行止めの表示はしてあるがトラ柵は道路脇に寄っており通行できた。チェーンやゲートの場合はカギを架けられて帰れなくなる可能性大であるが、トラ柵なら大丈夫である。右側に川を見て林道を登る。途中、一回橋を渡り川が左側になり、二本目の橋を渡ったところに作業小屋と車一台分の駐車スペースがあった。日曜日であり作業はお休みだと判断し、そこに駐車する。

 ロッドをセットアップし、支度を整えると、熊ん蜂がベストに停まる。虫が非常に多い豊かな溪である、と考えることにした。実際にメイフライやカディスといった水生生物や、蜂類、蟻類、バッタ類、甲虫類といった陸生生物(テレストリアル)のどれをとっても数が多い。
 下流まで下ってから入渓することにして、林道を徒歩で下る。途中おおきなミミズが車に牽かれて死んでいた、と思ったら蛇であった。これ位のヘビは岩魚が食べて大きく育つのだと考えることにする。そしてさっきの橋まで釣り上がることにして入渓。

 H川に入渓して何匹かの魚がフライにライズするも、フッキングさせることが出来ずに橋まで着いてしまった。その橋の下の大きなプールでは、大きな岩魚がライズしていた(私には見えなかったが)。toshi君が興奮して私に、そう言った。「どの辺でライズしているの。」「あの岩の色が変わっている辺りです。やってみて下さい。」
 私は、”あの岩の色が変わっている辺り”に、完璧なキャストでフライをプレゼンテーションした、と思った。「あー、そこじゃないですよ。」と冷静な声がした。「えっ。完璧だと思ったのに。」
 「もっと岩壁に近い、ほら岩の割れ目のキワの所ですよ。」私が理解した、“あの岩の色が変わっている辺り”と彼が言っている“あの岩の色が変わっている辺り”は、“あの岩の色が変わっている辺り”違いであったのだ。まるで仕事の研修の“伝言ゲーム”のようであった。
 岩魚は深い深い淵の底に引きこもった。ニンフで釣っていたtoshi君にポイントを空けるために姿勢を低くして岩場をそっと遡上しようとした私の移動の動作によって、中くらいの大きさの岩が淵に「ドボン。」と落ちてしまった。(これで、このポイントは絶望だな。toshi君に悪いことしたな。)toshi君に謝りながら、さらに崖を登ろうとした私の体が急転直下「ガガガー。」と淵に向かって落下し、今度は私が「ドボン。」と落ちる手前寸前で、ようやく落下が止まった。肘から血が出て激しく擦りむいた程度で済んだが、さらに(これで、このポイントは絶望だな。toshi君に悪いことしたな。)となってしまった。
 しかし、そんなことで諦るtoshi君ではなかった。インジケータ(浮き)にハーズイアというニンフパターンにショットの錘(ガン玉)というシステムで、たった今私が荒らしたポイントにキャスティングした。するとインジケーターが、明らかに沈み込み、toshi君は合わせた。フッキング。
 「信じられなーい。」と私は叫んでしまった。尺上、およそ35cmはある岩魚だ。いつも冷静なtoshi君も興奮して「まさか、来るとは思いませんでした。」と言いながら岩魚を捕ろうとファイト。一人では厳しそうだったので、私もランディングネットを差し出し、サポートに回った瞬間。“バッツン!”と音がして、ラインから水飛沫が上がった。「あー。切られました。」「デカかったのに残念だったねー。リーダーは何Xだったの。」「デカいの釣れると思わなかったから7X使ってました。」「そりゃ、無理だわ。」本日の一番の魚は取れなかったが、二人ともすっかり興奮させてもらった。最近滅多に見ないサイズの岩魚が出てきて、ドボンの直後でも釣れてしまうということは岩魚がスレていない証拠であり、今そこで私達は釣っているのだ。
 しかし、支流のH川は、これ以降トピックスがなく、午前中が終了した。

 昼の食事は、地元のプロショップ(笑)である、愛想無し食堂で取り、再び宣戦復帰した。

 午後は、某川の本流を攻めようということになり、S谷合流点から本流をロケハン、支流から下ったり、林から降りようと挑むが、険しいゴルジュ(岩壁)帯に阻まれ、ザイルとエイト環無しでは降下できず、降下したとしても両岸がゴルジュである部分が多く、泳ぎを強いられてしまう悪条件であった。一時間半から二時間程度、そういう試行錯誤を繰り返した。某川の魚影が濃い理由は、本流が険しく釣り人を寄せつけない部分が多いこと、種沢となる支流が多いこと、ブナ林が残っており、岩魚の棲息の条件である清流で年間通じての水量があり水温も低いこと、が整っているからであると実感した。
 試行錯誤の末、S沢の合流点より入渓し、源流に向かって本流を遡上開始。S沢合流点から上流は、本流も支流並みの水量になり、森林の頂上も近いことが実感できる。

 午前中のH川では、toshi君に迷惑をかけたので、先に行ってもらうことにした。もう一つの理由は、溪では先行者が有利になる。魚に外敵が来たということを悟られる可能性が低いからである。先行者が入った溪は、ほとんどの場合、釣果が乏しい。自分が先行して、toshi君より大きな魚を多く釣っても、ライバルであるtoshi君に「社長、先行してましたからね。」という言い訳を与えてしまう(笑)ことにもなるし、マナーにも反するのだ。それに、私は相手に先行してもらっても釣れるだけのテクニックがあるから大丈夫なのだ。ははははは。toshi君と釣りに来るのは5回目か6回目位だと思うが、釣ったり釣られたり、勝ったり負けたりする釣りになるので、お互いに手加減したり、気を遣ったりしなくても良いレベルであり、相手にとって不足はないのである。
 釣り人の常として、相手に勝った場合、次の日に会社に出社するやいなや、必ず自慢する。勝ち誇ったように、相手が釣れないのに自分は釣れた部分だけを誇張して話しまくる。つまり、同じ会社の釣り人と釣りに行ったら負けてはならないのである。(笑)半分は冗談ですけど。
 逆に、相手に絶対的に勝つには、相手に先行してもらい、その直後に自分が同じポイント(しかも相手は釣れなかったポイント)で大きな魚を釣り上げることができれば“自分の方がうまい”と胸を張って言えることになる。(これは、かなり難しいことです。) 何はともあれ、toshi君が先行して私は後行した。支流のH川の“いかにも渓流”という落差のある落ち込み連続渓相に比べ、本流源流部は“ポイントが少ない小川”状態であった。普段ではキャストしないような小さなポイントにもフライを入れて丁寧に釣り上る。先行者のtoshi君と一定の距離を空けて、少しだけポイントをクールダウンしながらポイントを読んでいく。

 合流点から300m位の水深20〜30cmのザラ瀬の小さな小さなポイントで、まず22cmの丸々太った岩魚を釣り上げた。滅多に魚をキープしない私であるが、出かけに妻から「釣れたら、食べる分だけ持ってきてね。」と言われたことを思い出し、キープすることにした。スティーブ・エーベルがくれたスティーブ自身の使っていたエーベルナイフで岩魚に謝りながら処理を施す。気持ちよく送り出してくれた妻孝行に数尾の岩魚は許される、と思っている。toshi君には何も告げずに涼しい顔して釣りを続ける。しばらくして、toshi君に追いついた。釣った魚をtoshi君に見せる。「けっこういい型ですね。太ってるし。」とtoshi君。「どこで釣ったんですか。」「そこのザラ瀬のポイントがない瀬でだよ。」この時点ではtoshi君にも、まだ余裕はあったと思う。

 そのポイントから、さらに300m位上流になるさっきよりはポイントらしいポイント。2、3分前にtoshi君が釣れなかったポイントである。釣れるという予感がした。リーダーを6Xから5Xに変えてフライも直感と読みによって取替えた。
 一投目、ポイントの落ち込みの上流からフライを入れてプレゼンテーション。落ち込みからフライが勢い良く落下して岩魚の補食するであろうフィーディングラインに乗った。ここで来る!と思ったポイントをフライが通過する。反応なし。(あれっ。おかしいな。)と思いながらフライを目で追う。さらに1.5〜2m下流で岩魚がモッコリという感じでライズした。(来たっ!来た!)合わせる。(フィッシュオン!)フッキングした。結構デカい岩魚だ。水深が浅いのでランディングは容易だった。この型で急流だったら苦労させられる。目測で27cm位のいわゆる9寸岩魚であった。尺岩魚(30cm)に少し足りないが立派な岩魚である。この良型はtoshi君にも見せなくては、とtoshi君を呼ぶ。「toshiくーん。」ただならぬ雰囲気を感じてtoshi君が走ってくる。「デカいですね。ここで出たんですか。さっき自分が攻めた時は魚影は見えなかったけどな。」
 その後、toshi君は素早い動きを見せる。フライを私の使っているフライに替えてポイントにキャスティングを繰り返した。あっという間に見えなくなってしまった。(toshi君も若いのー。でもライバルは燃えてくれないとね。ヤツのことだから必ず何匹かは釣ると思うけど、意地張らずに、もっと早くフライ替えればいいのにね。)

 しばらくして、またtoshi君に追いついた。「あれから3尾釣りましたよ。もっと早くフライ替えればよかったです。流石にさっきの27cm見てからフライを即替えました。」流石ライバル、ちゃんと最後は帳尻を合わせてくる。(でもtoshi君、俺は君の後から釣り上がって、君が釣れなかったポイントで釣った、ということを忘れては困るよ。)
 今日の所はサイズで*tohru、数でtoshi君、という痛み分けであった。午前中にあの35cmを釣り上げていればtoshi君の勝利確定だったのに。 勝負は次回以降に持ち越された。(完)

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H19年7月に5連休を妻と2人で、取り苫小牧港港からフェリーで青森県八戸港まで渡り、ぶなの森の「マザーツリートレッキング」と「岩魚釣毛ばり川遊び」をしてきましたオンボロのH6年式のハイエーススーパーロング88キャンカーで全て車中泊で、各地を回りました。奥入瀬渓流や十和田湖、八甲田山連邦等を観光し途中川で有漁料を払い岩魚と山女を毛ばりで釣ることができました。道内と異なり道路が狭く、移動距離が500kmと当初予想していたより燃料代が安く済み貸した。せんべい汁や蕎麦等を食し楽しい思い出ができました。妻が今度は仙台や宮城、新潟方面へ旅行したいと申しておりました。ぜひSPの本社と社長の自宅へ行ってみたいものです。今年のドロームでのSPウエイは、一足早く6月はじめに妻とキャンプし日脚ぶりにテントでのんびりすごしました。小型の蚋に手足を刺され散々でした。            愛媛県出身の北の毛ばり釣師

ezohujikadezisu7746さん、こんにちは。

青森や岩手は自然も魚影も濃く、僕も大好きなフィールドです。
新潟も良いところですよ。SnowPeakにも是非お越し下さい。(^^)

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