数学者と自然
先日あるところが主催する講演会で、数学者の藤原正彦氏のお話を聞く機会に恵まれた。
この方は新田次郎、藤原ていご夫妻の次男。NHK人間講座:天才の栄光と挫折〜数学者列伝〜という講座を持っていたり、数学者の視点から眺めた独自の随筆スタイルでの著書も多数あり単なる数学者を超えた存在かもしれない。
今回の藤原氏の「人の生き方を自然から学ぶ」というテーマに沿ったお話の中で最も印象に残ったのは「日本人の自然に親しむ情緒力こそが日本の数学界を世界一にしている最大の要素である」という言葉だった。
数学は、論理・合理・理性をベースとした科学技術の礎である。現代社会の「ほころび」は人類は科学技術だけではやっていけないことの証拠であり、論理はすぐに危うくなり必ず破綻する。藤原氏は、現代の論理は少なからず国や組織や個人の自己正当化のために使われることが多いからだと看破していた。いわば論理の粋で出来上がっている数学の世界にいる藤原氏からの「自然に対する情緒が大切」という言葉だけに、自分にはとても新鮮な印象を受け、逆に強い説得力を感じたのである。本当の知性というものは相矛盾することを共に高い次元で実現するものだから。
藤原氏の講演を聴きながら、日本の子供達の学力が落ちているのは皮肉にも塾通いや受験教育などによって子供達が勉強をする時間が増えていること、そしてそれと反比例して「自然の中で遊ぶ」という時間が全くなくなってしまっている、あるいは必要なだけは与えられていないことと無縁ではないと直感する。
日本の子供達の将来を考えた時、「子供はできるだけ自然の中で遊ばせてあげてほしい」と念願してしまう。
















